Motivation

もともと自分は「ソフトウェアキーボード」というものが嫌いでスマホで長文書きたくないという気持ちが大きかった。ガラケー時代は高速ケータイ打ちでメール送りまくりだったので多分物理的なキーボードがないことがストレスだと考えられる。

しかしこの性質はパッと思いついたことをメモしておきたいという要求に対して問題があった。

自分は何気ないタイミングで結構なボリュームのアイディアが思い浮かぶのだが、それを忘れないようにメモしようとすると自ずとスマホでメモを打ち込む必要があり、脳内にある文章量が多すぎてメモするのが億劫だったり、かなり情報量を削ぎ落とした箇条書きになってしまう。

これだとせっかく思いついたアイディアが最大限活かせない。

そのような状況のなか以下の記事を読んだ。

音声入力と生成AIの組み合わせが強すぎて、一人でブツブツ喋るオジサンとなった - 本しゃぶり

「AIにしゃべる」執筆法を覚えたら、生産性が爆上がりして頭はバカになった

honeshabri.hatenablog.com

これなら思いついたことを話すだけで構造化したメモができ、ヘルシーにアイディアを保存しとけるのではないかというところから自分も取り入れることを決めた。

しかしこの記事で紹介されているのはiOS(iPhone)とObsidianを用いたものになっており、最近Androidに変更し、Notionを軸に生きている自分はそのまま流用できなかった。

そこで自分の環境にてできるだけミニマムに取り入れる方法を検討するに至った。

結論 : 現状の運用

流れ

1. Galaxy One UIの「アプリペア」機能で作成したNotionとChatGPTのペアをホーム画面から起動
2. 左に起動しているChatGPTアプリにてGPTsの「Voice to Notion」を起動
3. Gboardの音声入力モードでひたすら考えたことを話して送信
4. 出力結果を右に起動しているNotionに貼り付ける

運用イメージ

詳細解説

いかにして手間を減らすか

この試みで最も大事なことは「いかにしてアウトプットが完了するまでの手間を減らせるか」にある。

アプリをいくつも起動して画面遷移を繰り返してアレコレするというのは非常に煩わしく、ヘルシーに運用するという点において課題になってしまう。

しかし大体1画面で抑えようとするとAPIを活用したり、何かワークフローを組んで行く必要が生まれるがこれも構築やメンテナンスが大変である。

できるだけ1画面に収めつつもそのフロー構築もシンプルで最小限の手間で実現したい。

折りたたみスマホというハードウェアチートでゴリ押し

そこで自分は投資した「ハードウェア」の強みを最大限活かすことにした。

そう、年始に悩みに悩んだ結果導入した「Galaxy Z Fold 6」である。

この端末の強みは「折りたたみスマホ」として携帯性を保ちながら展開時7.6インチのディスプレイにて「縦長のアプリを無理なく複数同時表示」できるというのがある。

つまり1画面でChatGPTとNotionを同時起動すれば1画面で全部できるというゴリ押しである。

「非折りたたみスマホ」でも以下左のように縦に並べることはできるので似たことは実現できる。

しかし見て分かる通り文書を扱う特性上縦に長くなりやすく、実用性に欠ける。

よって前述のとおり「縦長のアプリを無理なく複数同時表示」という特権はこのユースケースに刺さっている。

補足)アプリペア機能について

GalaxyのOne UIに標準搭載されている機能で、同時に複数アプリを起動して利用できるというもの。組み合わせは保存しておくことができ、ショートカットやホーム画面から起動できる。

よくソシャゲとかSNSとかの同時閲覧とかで使われがちな機能である。

(Galaxy) マルチウィンドウを使用して画面を2分割で使用する方法を教えてください。

Galaxy製品に関するFAQ。「(Galaxy) マルチウィンドウを使用して画面を2分割で使用する方法を教えてください。」の詳細について Samsung Japan 公式サイトで確認してください。

www.samsung.com

自分は左ChatGPT、右Notionで保存してホーム画面に登録し即時起動可能にしている。

GPTsを活用した出力内容の固定化

本件の工夫ポイントとしてこれ用のGPTsを作って前提となる指示入力を省略しているところがある。

GPTsはChatGPTで事前に指示内容を与えておけるオリジナルチャットボット的機能で、ここで出力について指示を与えておくことで出力結果の形式などを最初に指示する必要がなくなる。

本件の用途において対話は不要でできるだけそのまま欲しいアウトプットを素直に出して欲しいというのが期待値になる。

また下手に内容を改変しすぎるのも困るのであくまで構造化されていない音声入力内容を構造化したり、うまく認識されていない文字を補完するところだけに集中させることが重要である。

そのため以下にような指示を与えることでこれを実現している。

GPTs「Voice to Notion」の指示内容

あなたはユーザーが音声入力したテキストを受け取り、それを整理・構造化し、Notionに貼り付けやすいMarkdown形式（コードブロック）で出力するアシスタントです。基本的にアウトプットのみを実行し、余計な対話などは不要です。

アウトプットすべきものは以下3点です。
まず入力内容を整理・構造化し、それを踏まえたページタイトルをつけてください。
それぞれをわけてコードブロック（```）で囲んで出力してください
また入力内容について現段階で認識の誤りや論理構造の不整合など検討内容としての不備や懸念点が見つかった場合のみそれを端的に指摘してください。特になければ「現時点で懸念点はありません」と合わせて出力してください。

1.入力内容の整理・構造化結果(Markdown,コードブロック1つ目) 
2.ページタイトル(プレーンテキスト,コードブロック2つ目)
3.[現時点で明らかな場合のみ]検討内容の不備や懸念点の指摘(通常の対話)

出力ルールに従って出力してください：
- 出力は常にMarkdown形式で、コードブロック（```）で囲むこと
- Markdownの見出しレベルは「##」以下のみ使用すること（# は使用しない）
- ユーザーの音声入力は誤字や口語表現を含む可能性があるため、適宜文法や表現を修正すること
- 内容に応じて柔軟に構造化（見出し、箇条書き、リストなど）を行い、可読性の高いMarkdownに整形すること
- 出力されるMarkdownは、Notionにそのまま貼り付けて使いやすいようにすること

入力テキストは日本語で行われることを前提とし、日本語の自然な表現・段落構成を考慮してMarkdownを整形してください。

これによってコードブロックが即時に返ってくる状態になる。

コードブロックで出力させているのは1タップでコピー可能なのとAndroidにおいてうまくMarkdown形式のコピペを実現できたのが自分が試したなかだとこれだったため。

またページタイトルも合わせて出力させており、コピペの手間最小化のためにこれも別のコードブロックで出力させている。

音声入力はGboardを利用する

ChatGPTはアプリ自体で音声入力に対応しているが、これは以下のような使いづらさがある。

• 入力完了から反映までに少しタイムラグがある
• 入力中はテキストが見えず、入力停止後にまとめて処理されてテキストが出てくる

おそらく音声データをサーバサイドで処理してからテキストを返却しているためどうしても発生してしまうことだと思う。

個人的にはいくら最終的に生成AIでよしなにするとはいえ自分が話した内容がリアルタイムに文字起こしされていないと何話したのかわからなくなり、グダグダになりやすかった。

Gboardだとこの2点がどちらも解決されており、ほぼリアルタイムにインライン入力されるためキーボードで入力している感覚に近い。

当然精度が甘いところはあるが、これはChatGPT側でカバーされるので全く問題にならない。

発生している課題

基本的に満足しておりこれを構築するまでの手間に対して十分にワークしているように感じる。

明らかに自分の思いつきのメモの数と情報量が導入後増えている。

一応改善点になりそうな点は以下のようなものがある。

• アプリペア起動後に入力前に以下の操作が必要
• Notion > アイディアを記録するためのデータベースに移動して新規ページ追加
• ChatGPT >GPTsにある「Voice to Notion」を起動
• Notionへのコピペのクセが強い
• Android版Notionアプリ特有な気がするが、雑にクリップボード内のMarkdownをコピペできない
• 長押しして「貼り付け」を選ばないとただのプレーンテキストになったりする

上記結構スマートでない点も多いがこれを解決するくらいだったら全体の自動化を進める形になるのでミニマムな対応としてはクリティカルな問題になっていない。